2020年度 大学入試センター試験 「物理」の講評&説明


2020年01月31日更新


数式がテキスト形式のファイルで作られているので見にくくて申し訳ない!


2020年度 大学入試センター試験 「物理」の講評&説明

(C) Copyright 2020 MATSUNO Seiji


[全体講評]

 大学入試センター試験の「物理」,実施6年目である。2021年度入試より,大学入試センター試験が廃止され,「大学入学共通テスト」になるので,今年度で大学入試センター試験としては最後となる。国語や数学では,記述試験の導入が延期されたり,英語では民間試験の導入も白紙に戻されたりと,なにかと,受験生を振り回しているとしか思えないようになってきている「大学入学共通テスト」であるが,物理に関しては,すでに実施されたような過去2回の試行試験のように,“知識の理解の質を問う問題や,思考力,判断力,表現力を発揮して解くことが求められる問題”に大きく転換されるのか,次年度の第1回目の試験が個人的には楽しみではある。
 さて,昨年度と今年度の大きな違いは,部分点のあるなしだろう。昨年度は1題もなかったのに対し,今年度は部分点のある問題が3題あった。ちなみに,一昨年度は部分点のある問題は6題もあった(←さすがに多すぎだよねぇ!)。
 今年度で最後となる選択問題は,浮力に関する問題と原子分野の問題であった。これまでと同じく,原子分野を選択しなければ,教科書の全分野をマスターしている必要はない。従来のように,原子分野まで終了していない受験生は,浮力に関する問題を選択したと考えられる。2021年度より始まる「大学入学共通テスト」においては,すでに宣言されているように選択問題は作らないとのことなので,次年度の受験生からは,原子物理学までしっかりと学習せねばならない。
 今年度の問題で,解いていて気になった問題を挙げてみる。
 第2問のAは,円筒形の導体に誘電体を挟んで作った,平行板コンデンサーと等価になるというちょっとシチュエーションに凝り過ぎた感のある問題であった。過去のセンター試験でも,こういった,シチュエーションに凝り過ぎた問題は何度か出ている。うまく等価回路に変換できるかが命運を分けた。等価回路に変換できればそれほど難しくはない。
 第2問のBの問4の,荷電粒子の質量が変わったときに,どのような影響が出るかを求めさせる,実験を意識した(ように感じなくもない)問題が気になった。個人的には,なかなかよい良問であったと感じた。
 第3問のAは,ドップラー効果についての出題だったが,よくある音波についてとして問えばいいのに,わざわざ水面波というシチュエーションとして出題されていた。目新しい問題を作りたいのかもしれないのだが,なんだかな〜と感じさせられた。
 選択問題の第5問の浮力に関する問題は,苦手とする受験生が多い分野であり,選択した受験生は苦労したかもしれない。一方の選択問題の第6問のほうは,問2が計算が大変面倒である点を除けば,第5問よりも,はるかに簡単だったように感じた。



[各設問に対するコメント&説明]

第1問
 小問集合。問1は力のモーメントのつりあいの問題,問2は直線電流の周りの磁力線を問う問題,問3はクインケ管の基本問題,問4はボイルとシャルルの法則を問うた典型的な問題。そして,問5は運動量保存則を用いて衝突後を考察する問題だった。例年よくある,間違い探し的な設問はなかった。
問1)質量のある一様な棒の重心は,棒の中央であるから,図1だとOの右に l/2 の位置である。棒が図1の状態で水平に静止していることより,Oのまわりの力のモーメントがつりあっている。力のモーメントのつりあいの式は,mgl=Mg・(l/2) である。よって,m=M/2。Bが正解。【易】
問2)直線電流のまわりに生じる磁場は,右ねじの法則によって磁力線の様子を可視化するのだが,この問題では,2本の直線電流が両方とも紙面表から裏向きに並んでいる場合であり,あまり見かけないシチュエーションである。ただ,まわりに生じる磁力線とその向きを矢印付きで描くことで,@のように,より電流から遠くになると,磁力線がくっつくということが分かるだろう。また,超遠方から見ると,2本の直線電流の間の距離が0に近くなると考えることで,そのまわりの磁力線が,右ねじの法則で求められる磁場となると考えるのも手である。@が正解。ちなみに,Aのような磁力線になるのは,直線電流の向きが逆向きの場合。Bは同じ符号の点電荷をAとBにおいた場合の電気力線,Cは異なる符号の点電荷をAとBにおいた場合の電気力線であろう。【普通】
問3)クインケ管の問題。しかも,ご丁寧に“管 D を L だけ引き出すと,経路 ADC の長さは引き出す前より 2L だけ長くなる”とまで書いてあるサービス問題。音が小さくなった位置からさらに L 引き出した位置で再び最少となったので,その間にちょうど1波長λだけ経路差が生じたとわかる。つまり,λ=2L。Cが正解。【易】
問4)ボイルとシャルルの法則を問うた基本問題。
   “絶対温度を一定に保って”→ ボイルの法則(pV=一定)。圧力が 1/2 倍となるのは,体積が 2 倍(ア)になったとき。
   “圧力を一定に保って”→ シャルルの法則(V/T=一定)。絶対温度を 1/2 倍にすると,体積は 1/2 倍(イ)になる。このとき,気体の内部エネルギーは,U=3/2・nRT なので絶対温度 T に比例するから,1/2 倍(ウ)になる。Bが正解。【普通】
なお,この問題には部分点があり,内部エネルギーの(ウ)が間違っていても5点中3点がいただける。実に太っ腹だ。
問5)2物体の衝突の問題であり,運動量保存則を,x,y方向でそれぞれ立てるような感じを受けるのだが,衝突前の全運動量が,右向きを正とすると,2m・(+V)+m・(-2v)=0 であることより,衝突後の全運動量も 0 になればよいことがわかる。すると,衝突後の小球Bの速度は,小球Aの速度と逆向きとなる必要があるので,Cの向きを向くことが計算をしなくても導き出せるだろう。ちなみに,衝突後のBの速さは,衝突後のAの速さの 2 倍となる。【易】

第2問
 Aは,円筒形の導体に誘電体を挟んで作った,平行板コンデンサーと等価になるというちょっとシチュエーションに凝り過ぎた感のある問題であった。過去のセンター試験でも,こういった,シチュエーションに凝り過ぎた問題は何度か出ている。うまく等価回路に変換できるかが命運を分けた。なんだか,物理の知識を問われているのか,それとも別の能力を問われているのかよくわからない後味の悪い問題だ。Bは,原子分野での荷電粒子の運動についてのよく見かける問題だった。PQ間で加速し,QS間では一様磁場中で等速円運動をするというものだ。問4では,実験を意識した(ように感じなくもない)問題として,荷電粒子の質量が変わった場合に,結果にどのような影響が出るのかを求めさせる良問だった。しっかり計算すると,結構,時間がかかってしまったのではなかろうか。

問1)図1の等価回路の変換の仕方を理解できれば,図2はCが正解とわかる。着目するのは,接点の位置と,誘電体の黒い線上の部分の位置だろう。【易】
問2)図3を等価回路に変換すると,問1のDである。同じ電気容量のPQ間コンデンサーと,QR間のコンデンサーと,RS間のコンデンサーは,直列になっているため,それぞれのコンデンサーの両端電圧は,1/3・V ずつとなる。よって,Aが正解。等価回路が見抜ければたやすい。【易】

問3)荷電粒子Aは,一様な磁場から(ローレンツ)力を受けて,(フレミングの左手の法則を使うと)(b)(←ア)の(等速円運動の)軌道を描いて面Sに達した。面Sに達する直前の荷電粒子Aの運動エネルギーは,電極Qの穴を通過した時の運動エネルギーと比べて,(等速円運動をするから速さは変化しないので,その運動エネルギーは)変わらない(←イ)。よって,Dが正解。括弧内で正答への導出の仕方を示した。【普通】
問4)電極PQ間での荷電粒子Aのエネルギー保存則の式を立てて考えよう。
       電極P       電極Q
     1/2・mv^2+qV  =  1/2・m(2v)^2
   これを解くと,V=(3mv^2)/2q となる(←ウ)。これが,条件を満たすQに対するPの電位である。
   次に,荷電粒子B(電気量qは同じで質量がmより大きい→Mとする)にして,同じ電位Vで加速させたら,電極Qでの荷電粒子Bの速さ vB は,エネルギー保存則より
       電極P       電極Q
     1/2・Mv^2+qV  =  1/2・m(vB)^2
   となる。これより,V=M/2q・(vB^2−v^2) となる。この電位 V の大きさは,上の(ウ)と同じであるから,V=M/2q・(vB^2−v^2)=3/2・mv^2 である。
   ここで,M が m より大きいという条件でどうなるかを求めるのだから,M/m=v^2/(vB^2-v^2)>1 である。すなわち,v^2>vB^2−v^2。つまり,vB<√2・v となる。これは,2v よりも小さい(エ)。よって,Bが正解。条件を変えると実験結果がどうなるかを考察するという,実際の実験を行うときのアプローチの仕方をうまく問うた,良問といえるのではないだろうか。【やや難】
   ちなみに(エ)であるが,荷電粒子が電極板間で受ける力の大きさから答えを導くという方法のほうがはやいので紹介しておこう。荷電粒子がAの場合もBの場合も同じ電位 V であるから,電極板間の電場( E とする)は一様で同じである。荷電粒子は電極板間を静電気力(クーロン力)を受けて加速するので,A,Bそれぞれの運動方程式を立てると,
     荷電粒子A : maA=qE
     荷電粒子B : MaB=qE
   となるので,aB=m/M・aA<aA となる。つまり荷電粒子Aの加速度よりBの方が小さいわけだから,加速終了後の電極Qの穴の位置での速さが,Bの方がAよりも遅くなることが導かれる。

第3問
 Aは,ドップラー効果の問題。観測者の動く場合,波源の動く場合のどちらもが問われた。Bは,光の干渉実験の問題。問3はヤングの実験,問4はニュートンリングの問題。問われている内容は,標準問題レベル。

問1)波の隣り合う山と山の距離とは,波長のことである。波の基本式(v=fλ=λ/T)を用いれば,求めるこの水面波の波長は,λ=VT(ア)である。
   観測者が図1(a)のように最初の山を観測してから,図1(b)のように次の山を観測するまでに,かかる時間 とは,観測者の観測する波の周期のことであるから,その振動数を として,波源における波の基本式と,観測者における波の基本式を立てると,
     波 源 : V=fλ
     観測者 : V−v0=f1λ
   これらを連立して, f1=(V-v0)/V・f(←よくみかけるドップラー効果の公式)となる。これを,周期でかきなおせば,T1=V/(V-v0)・T(イ)。
   以上により,Bが正解。水面波というシチュエーションではあるが,音の場合と同様である。【普通】
問2)t=2T から,静止していた波源を,観測者側(x軸の正の向き)へ V/4 で移動させたときの,原点 O での波形を表すものを選ぶ問題。波源が動き始めるとその速さは,V−V/4=3/4・V となり,振動数は f のまま変わらないので,波の基本式を立てると,3/4・V=fλ' となるから,その波長は,λ'=3/4・fV=3/4λ となる。つまり,波源が動き出すまえの t=2T までの波長 λ の 3/4 倍となる。4つの選択肢の中から,波長が 3/4 倍になっているものを選べばAが正解。【普通】

問3)ヤングの実験である。光源の色の違いで明線間隔がどうなるかを問うている。図3の図もよく見る図であるし,問われている色の違いによる変化も,よく見かける問題だった。
   スリットからスクリーンまでの距離を l とすれば,近似公式を適用した結果,明線間隔を Δx とすると,|l1−l2|≒d/l・Δx=λ である。つまり,Δx=l/d・λ だ。赤と紫では,赤の方が波長が長い(←可視光線の波長と色に関する知識が必要)ので,Δx が小さくなる(明線間隔が狭い)のは,紫(波長が短い)の単色光のときだとわかる(ウ)。
   次に,スリット間隔 d を狭くすると,同じ式から,Δx は大きくなることが分かる。つまり,明線間隔は広くなる(エ)。
   以上より,Eが正解。よくある標準的な問題であろう。【普通】
問4)ニュートンリングの問題。出題の問題集がやたら長いが,問われている内容は,教科書傍用問題集の例題レベル。与えられた図4に,よく見かける曲率半径 R や,上面から見たときの明環の半径 r などの文字指定がないので,自分でおいて考えるのがよい。
   点 P の位置が明環になる条件は,点 P の位置での反射時に位相が π ずれるのに注意すれば,光学的距離の差 ΔL=1×2d=(2m+1)・λ/2=(m+1/2)・λ となることが必要である。問題訂正に従って,2d/λ=m+1/2(オ)となる。個人的には,問題訂正する必要性を全く感じないのだが,明環条件が,λ/2 をつかって表現している教科書が多いのに配慮したのだろうか?
   次に,空気層を液体で満たした場合に明環の半径がどうなるかを考える。ここでは,作図により,R~2=(R-d)~2+r^2=R^2(1-d/R)^2+r^2≒R^2(1−2d/R)+r^2=R^2−2dR+r^2 の関係(← d≪R による近似をした)から導かれる,2d≒r^2/R の関係を用いる。明環になる条件は,1×2d=n'×2d'=(m+1/2)λ であるから,n'>1 より d<d' である。ここで,2d≒r^2/R の関係があるので,r'<r となる。つまり,明環の半径 r' は小さくなるが正解(カ)。
   以上により,Fが正解。ちなみに,(カ)が間違っていても部分点が5点中3点与えられる良心的な配点となっている。【普通】

第4問
 Aは,衝突現象と円運動を組み合わせた,大学入試センター試験としては,比較的難易度が高い問題。ただ,問われている内容としては,教科書例題レベル。Bは,力のつりあいと運動方程式を用いる問題であったが,レベル的には従来の第1問の小問集合レベルだと感じる簡単な問題だった。

問1)小物体Aと,合体した後のCの運動量保存則の式を立てる。右向きを正とすると,mv=4mV。これを解けば,V=1/4・v。@が正解。【易】
問2)物体Cの点 P での円運動の運動方程式と,力学的エネルギー保存則の式を連立して解くという,教科書例題レベル。
     円運動の運動方程式 :  4mvP^2/r=4mg+N
     力学的エネルギー保存則 :  1/2×4mV^2=1/2×4mvp^2+4mg×2r
   また,点Pで,円運動を続けることができる条件として,N≧0。
   これらを連立すると,V≧√(5gr) が必要。よって,V の最小値としては,Bが正解。計算に時間がかかった受験生もいたかもしれない。【普通】

問3)図2の状態で静止しているので,小球1と2のそれぞれで,力のつりあいの式を立てる。
     小球1 : T=ks+mg
     小球2 : mg=ks
   これらを連立して解くと,s=mg/k。および,T=2mg。Cが正解。【易】
問4)糸を静かに放した直後は,小球1にはたらいていた張力Tのみが0となる。放した直後なので,ばねの伸びもその瞬間は変化せずsのまま。それぞれの運動方程式を立てる。
     小球1 : ma1=ks+mg=mg+mg=2mg
     小球2 :  ma2=mg−ks=mg−mg=0
   これらより,a1=2g,a2=0。Cが正解。【易】

第5問(選択問題)
 第6問と選択の問題。今年度は浮力に関する問題だった。浮力といえば,受験生の多くが苦手にする分野,もしくは,充分な演習がされていない受験生が多いため,自信がなければ,原子物理分野の第6問を選択したほうがよい。ちなみに,僕自身が受験生であったならば,迷わず第6問を選んだと思う(苦笑)。
問1)浮力の大きさは,アルキメデスの原理により,その物体が押しのけた流体にはたらく重力と同じだけの大きさ(F=ρVg)であるから,この問題では,円筒形の容器内の気体が押しのけた水の体積 V=Sl1 にはたらく重力と同じだけの大きさの浮力を受けることになる。図1のような状態で静止していることから,力のつりあいの式を立てると,mg=ρSl1g となるので,l1=m/ρS となる。@が正解。【普通】
問2)図2は,容器が上昇を始めたときなので,容器が水槽の底から離れた瞬間である。つまり,水槽の底と容器は接触していないので,容器が水槽の底面から受ける垂直抗力の大きさは,N=0 である。
   次に,図2のときの容器内の気体の圧力 p2 は,容器内の水面の高さでの圧力であるから,水面から深さ l2 の水圧に等しい。つまり,p2=p0+ρSl2g である。水圧を求める問題は,演習でもあまり見かけないので,戸惑った受験生も多いかもしれないと予想される。
   以上より,Aが正解。【普通】
問3)容器の質量は m で変化していないので,再び上昇するには,問1と同じだけの浮力が最低でも必要である。つまり,水温が上昇して気体が膨張し,V=Sl1 以上にならないと容器は上昇を始めない。ここで,容器内の気体は,理想気体であるので,状態方程式に従って変化することを利用する。
     (図1の状態方程式) 温度 T1  : p1Sl1=nRT1
     (図2で上昇する直前)温度 T2  : p2Sl1=nRT2
   これらを連立して,T2=p2/p1・T1 が求まる。Bが正解。大学入試委センター試験としては,やや難度が高いと感じた。【やや難】

第6問(選択問題)
 第5問と選択の問題。原子物理学分野からの問題。問2の結合エネルギーを求める問題は,計算にやたら時間がかかるのが特徴だ。でもまあ,統一原子質量単位の[u]ではないだけマシか……。一方,問3は,一様な電場がかかる場合であって,フレミングの左手の法則を駆使しなくてはならない一様な磁場がかかる場合ではないので,各放射線の電荷だけに注目すれば瞬時に正解が分かる,ボーナス問題だったろう。
問1)2015年に命名されたニホニウムが題材になっている。(ア)は,核反応式から質量数と原子番号を求める基本問題だ。質量数は,A+209=278+1の関係から,A=70とわかる。原子番号は,Z+83=113+0 の関係から,Z=30 である。よって,(ア)は 70 30Zn。次に,178 113Nh が 254 101Md に崩壊するのは,質量数が 278−254=24 だけ減り,原子番号が 113−101=12 だけ減るので,これは,4 2He が6回飛び出し(α崩壊が6回:イ)て,崩壊したことが分かる。以上によりGが正解。α崩壊とβ崩壊が組み合わされていないので,すぐに正解が導けただろう。【易】
問2)質量欠損から原子の結合エネルギーを求める問題。よく見かけるのは,統一原子質量単位[u]で,それぞれの質量が与えられる問題だが,ここでは,[kg]で与えられているのでやや手間が少ない。それでも,計算には時間がかかっただろう。4 2He は,2個の陽子と2個の中性子から成るので,質量欠損は,Δm=(2個の陽子の質量)+(2個の中性子の質量)−(4 2He の質量)=(2×1.673×10^-27)+(2×1.676×10^-27)−(6.645×10^-27)=5.1×10^-29[kg]。アインシュタインの質量とエネルギーの等価性(E=mc^2)により,求める結合エネルギーは,質量欠損分のエネルギーなので,Δmc^2=(5.1×10^-29)×(3.0×10^8)^2=4.59×10^12≒4.6×10^-12[J]。Dが正解。求め方はわかっても,計算が面倒くさいことこの上ない。短い試験時間で焦ると,計算間違いをするかもしれない……。【普通】
問3)電場でどう放射線の軌道が曲げられるかを問うた問題。磁場でどう曲げられるかを考えるよりはたやすい。α線は,ヘリウム原子核なので正に帯電しているから,電場の向きと同じ向きに曲がる。β線は電子なので負に帯電しているから,電場の向きと逆向きに曲がる。γ線は電磁波なので帯電していないから,電場では曲がらない。以上によりEが正解。各放射線の正体を考えれば,すぐに正答が導かれる。この問題では,放射線の正体までご丁寧に問題文に書いてあったりするので,サービス満点だった。


以上。



無断転載や引用をかたく禁じます。一言、メールでご相談くださいな。


トップへ
戻る


(C) Copyright 2001-2024 MATSUNO Seiji