2018年度 大学入試センター試験 「物理」の講評&説明


2018年01月19日更新


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2018年度 大学入試センター試験 「物理」の講評&説明

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[全体講評]

 今年度は,天体の運動と原子分野が選択問題だった。昨年度同様に今年度も熱力学の問題が必答になっていた。また,これまでと同じく,原子分野を選択しなければ,教科書の全分野をマスターしている必要はなく,従来のように,学校によっては,原子分野の扱いを最低限にとどめるような指導でも十分に対応できた。新課程の物理としての4年目であるが,あいかわらず原子分野は選択問題になっているので,高校現場で原子分野の扱いが,おろそかになってしまう,もしくは,扱うことすらなされないのではないかと懸念している。毎年書いているような気もするが,個人的には,全問題必答にしていただきたいと思っている。学習指導要領での選択履修を認めていないのに,大学入試センター試験では選択が可能であるというのは,まったく整合性がないからだ。
 昨年度までと大きく異なっている点として,部分点のある問題がかなり多いことがあげられよう。昨年度は1つもなかったのに,今年度は6問もあるのだ。そもそも,部分点があるということについては,本来2つの問題に分けて出題するのが良いところを,全体の問題数の関係なのか,無理やりに1題にしたというような,出題者側の都合しか感じられない。配点を低くして問題数を増やすという選択をなぜここまで頑なに拒んでいるのか,大学入試センターの意図するところが全く不明である。部分点の大盤振る舞いなのか,出血大サービスなのか? 僕の感覚でではあるが,部分点を与える必要性のない問題にまで部分点があったりすると感じられる問題もあったのが気になった。
 今年度の問題で,解いていて気になった問題を挙げてみる。
 第2問Bの問4。電磁誘導の問題としては,よく見かけるシチュエーションではあるものの,(1),(2),……と導出させながら答えさせるのがふさわしいと思われるような問題であるのだが,いきなり最後に問うべきことが問われたので,難問といえよう。センター試験の問題としてふさわしかったのかどうかが疑問に残る出題だったと感じたのは僕だけだろうか。
 第3問Aの問1。新課程「物理」になって波の式は学習必須項目となったが,今年度のセンター試験では,この波の式に関する問題が出題された。しかも,式は,x=0[m]の位置での媒質の変位であるのに,提示されたグラフは横軸がx軸の波形であった。さらに,初期位相も考えよという,かなり難度が高いと思われる問題だった。旧課程では発展であった波の式が,ここまで完全に理解していないと正答が得られない問題として出題されたのには,正直驚いた。受験生にとってはかなり差がつく問題だったと思われる。
 第6問の問1。原子核と素粒子について正しいものを選ぶ問題であるが,かなり細かなところまで正確な知識を持っていないと正答が選べないのではないかと思われる問題だった。多くの高校現場では,おそらく,この分野の内容は,それほど深く授業で扱われていない現状があるだろうと予想されるので,選択した受験生はきっと困惑しただろうと予想できる。



[各設問に対するコメント&説明]

第1問
 小問集合。問1は運動量保存則の基本問題,問2は音に関する知識を問う基本問題,問3はおおよその電場の向きを矢印で表す問題,問4は熱力学の気体分子運動論の結果だけ問う基本問題,問5は教科書や問題集でよく見かける,円板の一部を円形に切り抜いたときの残った部分の重心の位置を問う問題であった。ちなみに,問4と問5には,部分点が与えられるようだ。
問1)衝突後に一体となった物体の速度を v' とすると,衝突前後の運動量保存則の式は,右を正とすると,mv+M×0=(M+m)v' となる。よって衝突後の一体となった物体の速度は,v'=mv/(M+m)v である。一体となった物体の運動エネルギーは,1/2・(M+m)v'^2=m^2v^2/2(M+m) となり,Dが正解。【普通】
問2)音に関する基本的な知識や理解を問う問題。順に見ていく。@音の速さは,振動数に比例して増加しないので,誤りだ。A音を1オクターブ高くすると,振動数が2倍となるから謝り。C振動数が少し異なる二つの波が重なるとうなりが生じるので,これも誤り。D音源が観測者に近づく速さが大きいと,観測者の聞く音は高くなる(振動数は大きくなる)ので,誤り。よって,Bの“音が障害物の背後にまわりこむ現象は,回折と呼ばれる。”が正解。ところで,受験生でよく間違えるのは,「回折」を「回析」とする間違いだ。どうせなら,これが問題になっていてほしかった。【易】
問3)任意の位置の電場は,その位置に+1[C]の大きさの点電荷を置いて,受ける力の向きと大きさ E=k0Q/r^2 として求める。この問題では,ABCDのいずれの点電荷もおなじ大きさの電気量 Qであるので,点電荷まで近い同じ距離のBとCによって生じる電場は,図の真下向きに大きい。一方,点電荷まで遠い同じ距離のAとDによって生じる電場は,図の真上向きにとても小さい。なぜなら電場の大きさは,距離rの2乗に反比例するからだ。よって,その2つの電場ベクトルを合成すれば,Fの真下向きの電場が点Pの電場の向きであるということが容易にわかる。【易】
問4)気体分子運動論の結果だけを問う問題。単原子分子理想気体では,気体分子の平均運動エネルギーは,ボルツマン定数 k を用いて,1/2・m<v^2>=1/2・kT となる。よって,絶対温度に(ア)比例し,(イ)分子量によらない。2乗平均速度は,<v^2>=1/m・kT であるから,同じ温度であれば,気体分子の質量に反比例する。ヘリウムとネオンでは,ヘリウムの方が質量が大きいので,2乗平均速度は(ウ)ヘリウムの方が大きい。@が正解。この問題は,(ウ)のみ間違ってAを選んでも部分点が与えられる。ただ,どこにAを選ぶ要素があるか全くわからないが……。【普通】
問5)重心を求めるところで扱うことが極めて多いと思われる,円板の一部を円形に切り取った残りの部分の重心を求める問題だ。一様な厚さの円板なので,密度は一定。円板の質量比は,その面積比と同じになる。つまり,mA+B:mA:mB=9:4:5 。求めたい物体Bの重心の位置を x として,重心を求める式に代入すると,0={mA×(-1.0)+mBx}/(mA+mB)={(-4.0)+5x}/(4+5) となり,x=0.8[cm]と求まる。Aが正解。ただ,先生方の多くに経験があると思うのだが,実際に授業で扱った時に,多くの生徒さんは,なぜかこの手の問題を正しく答えられない。……であるからかどうかは知らないが,物体Bの重心の位置が点Oの右側であることだけの@,B,Cを選択した場合でも部分点が与えられた。大盤振る舞いもいいところだ。【普通】

第2問
 Aは,コンデンサーの過渡現象の問題。Bは,電磁誘導のよくあるシチュエーションの問題だった。ただBの問4は,(1),(2),……といったヒントになるものがなかったので,難問だったと思う。

問1)スイッチをa側に入れると,電池によってコンデンサーの充電が始まる。十分時間がたつと,コンデンサーが充電完了し,回路に電流は流れなくなる。@が正解。【易】
問2)充電完了後に,スイッチをb側に入れると,抵抗とコンデンサーだけの回路となる。充電完了時にコンデンサーにたまっていた静電エネルギーは,U=1/2・CV^2 である。よって,電流が回路に流れなくなるまでに抵抗で発生するジュール熱は,充電完了時にコンデンサーにたまっていた静電エネルギーと同じ大きさとなる(エネルギー保存則)。Gが正解。【易】

問3)長方形コイルabcdが一様な磁場中に一定の速さで落下した瞬間から,コイルには,裏から表の向きに増加した磁束密度を打ち消す向きに誘導電流が流れる。誘導電流は,表から裏の向きに打ち消す磁束密度を作り出す,adcbaの向き(負)に流れる。また,一定の速さでコイルが落下していくため,単位時間あたりの磁場中に入り込むコイルの内部面積は一定の大きさで増加していく。つまり,ファラデーの電磁誘導の法則 V=-ΔΦ/Δt=-BΔS/Δt より,t=0 から t=T までの時刻では,誘導起電力は一定となる。コイルに流れる電流の大きさも,オームの法則により,I=V/R=1/R・(BΔS/Δt) で一定となる。t=T よりあとの時刻では,コイルを貫く磁束密度に変化はなくなるため,誘導起電力は発生せず,誘導電流も流れなくなる。よってCが正解。【普通】
問4)導出やヒントになる問題がなく,いきなり一定の速さvを求めよという,なかなかに不親切な問題だ。おそらく,差がついた問題に違いない。順に考えていくことにしよう。誘導起電力の大きさを V とすると,一定の速さ v は,1秒間で距離vだけ落下するわけだから,V=BΔS/Δt=Bvw/1=vwB である。よって,このとき流れる誘導電流 I は,I=V/R=vwB/R。さて,長方形コイルが一定の速さで落下するためには,鉛直上向きの力とコイルの重力mgがつりあわねばならない。では,鉛直上向きの力は? それは,一様磁場中にある辺abを流れる誘導電流が磁場から受けるローレンツ力(F=lIB)なのだ。今は,長さ w の辺abを流れる誘導電流 I が受けるローレンツ力だから,F=wIB=w(vwB/R)B=vw^2B^2/R。これがコイルの重力とつりあうので,力のつりあいの式 mg=(vw^2B^2)/R が成り立つ。よって求める速さは,v=mgR/(B^2w^2) となる。Cが正解。【難】

第3問
 Aは,正弦波の重ね合わせの問題。問1は,波の式と波形のグラフとの関係から,周期や初期位相を読み取るという,難度の高い問題。この手の問題は,受験生の多くが苦手としているだろう。つまり,差のつく問題だったと思われる。また,問2は,反射波で生じた定常波についての問題で,こちらもやや難。一転して,Bは,光の干渉に関する例題やら演習問題でよく見かける問題だった。

問1)与えられた波の式は,x=0[m]での媒質の変位であるが,与えられたグラフは,横軸がx軸の波形のグラフである。しかも,波の式は,初期位相も考えねばならない。新課程で発展ではなくなった波の式であるが,センター試験で,まさかここまで,しっかりと理解していないと正答が導けない問題が出たのには正直驚いた。さて,ここでは,与えられたt=0[s]のときの波形のグラフと,t=1[s]のときの波形のグラフを用いて,この正弦波の周期Tとx=0[m]での初期位相αを求めることにしよう。t=0[s]と,t=1[s]を見比べると,0.1[m]だけ正弦波が右へ進んでいることがわかる。原点x=0[m]の変位を見てみると,y=0.2[m]からy=0[m]へ1/4周期分変化していることがわかるだろう。つまり,T/4=0.1[s]ということだ。よって,周期は,T=0.4[s]と求まる。次にx=0[m]での初期位相αだが,x=0[m]でt=0[s]のとき,媒質が山の最高点に位置しているわけなので,α=π/2[rad]であることがわかる。よって,正解はEだ。【難】
問2)入射波と反射波の合成波を図2にかき加えてみると,x軸とクロスする位置がすぐわかる。そこが定常波の節の位置に他ならない。なぜなら,定常波の節の位置は,どんな瞬間に重なり合っても,いつでも合成波の変位はy=0[m]だからだ。よって,(ア)は,−0.1,0.1 とわかる。次に,反射波は,x=1.0[m]の位置で反射してきたものだあるが,図2のx軸の目盛りはx=1.0[m]までかいていないではないか! と慌てなくても,図の右の余白に延長してかいていけばすぐに(イ)自由端反射とわかるだろう。固定端反射なら節になるからだ。もっとも,定常波の節の位置と,節節間隔が0.2[m]であることから考えると反射位置が腹になることがわかり,自由端反射であると求めることもできる。Aが正解。なお,@の反射が固定端反射と間違ってしまっても部分点があるようだ。【普通】
問3)上から順に,T/8ごとの弦の振動の波形パラパラ漫画である。問われているのは,t=5/8・T のときで,図3の次の波形であるから,解答はたやすい。基本振動は(a),2倍振動は(c),それらの合成波は(e)とわかる。@が正解。また,合成波だけ間違ってしまってAを選んでも部分点がある。……合成波を間違う理由が僕にはわからないのだが……。【易】

問4)平行ガラス板間での光の干渉のよく見かける問題である。直接透過する光と,反射して透過する光の経路差(光路差)が,2dであることさえ間違えなければ,光の干渉条件で正答が得られる。また,2回ガラス板表面で反射しているので,干渉条件を逆にする必要もないため,点を落とすこともなかろう。真空中を進んできた光は,ガラス面で1回反射すると,ガラスの方が硬いため固定端反射をし,位相が(ウ)πだけ変化(反転)する。“ガラス面間隔がdのときに光が強めあった”とあるので,2d=mλ が成り立つわけだ。次に,ガラス面間隔が d+(λ/2) のときはどうかというと,2×{d+(λ/2)}=2d+λ=mλ+λ=(m+1)λ となり,強めあう条件を満たすことがわかる。よって,徐々に間隔を変化させたなら,(エ)一度弱めあった後強めあう。【普通】
問5)真空中の光の速さ c を用いると c=fλ の関係が成り立つ。波長は λ=c/f とかける。ガラス間の間隔が d のときに干渉光が強めあう条件式は 2d=mλ=m(c/f) であるので,レーザー光の振動数 f は,f=m(c/2d) を満たせばよいことがわかる。Bが正解。【普通】
問6)レーザー光の振動数 f を f+Δf まで徐々に大きくしていったら,“一度弱めあったのち再び強めあった”とあるので, f+Δf=(m+1)・(c/2d) が成り立つと言える。つまり,Δf=c/2d=3.0×10^8/(2×0.10)=1.5×10^9[Hz] である。Eが正解。【普通】

第4問
 Aは,典型的な力学の問題。ばねあり摩擦力ありの,いかにも物理らしい問題だった。Bは,熱力学の問題。容器の中にばねのある,これもまたよく見かける問題だった。両問題とも,問題文中に多くのヒントが提示されており,それに気が付けば全問正解はたやすかったと思われる。

問1)小物体が静止したままであるためには,位置 x で静かに放したときにはたらいている最大摩擦力 μN=μmg(xの正の向き)と,ばねの弾性力 kxM(xの負の向き)がつりあう必要がある。力のつりあいの式を立てると,μmg=kxM 。これを解けば,xM=μmg/k となる。Aが正解。【易】
問2)xM より右側の位置 x で,動き始めた物体にはたらく力は,動摩擦力 μ'N=μ'mg(xの正の向き)と,ばねの弾性力 kx(xの負の向き)である。よって,求める力 F は,F=μ'mg−kx=-k(x−μ'mg/k)(←ア)である。“この力は,位置 μ'mg/k を中心とする単振動を生じさせる力と同じ”だというヒントがご丁寧にもあるため,小物体が動き始めて次に速度が0になるまでの時間 t1 は,単振動の1/2周期にあたることが容易にわかる。単振動の周期の公式である T=2π√m/k を用いて,t1=T/2=1/2・2π√m/k=π√m/k(←イ)と求まる。Dが正解。【普通】

問3)図2(b)の状態でピストンが静止していることより,力のつりあいの式を立てる。ピストンが受けている力は,右向きに気体から p0S ,および,左向きにばねが縮んだことで生じた弾性力 kx である。ここで,ばねの縮んだ距離xは,ピストンに入れた気体の体積 V0 を用いて,x= V0/S とかける。よって,静止しているピストンの力のつりあいの式は,kx=k(V0/S)=p0S となる。これより,求めたいばね定数 k は,k=p0S^2/V0 とわかる。次に,ばねに蓄えられたエネルギーは,ばねの弾性エネルギーのことなので,U=1/2・kx^2 で求められる。代入すると,U=1/2(p0S^2/V0)(V0/S)^2=1/2・p0V0=1/2・nRT0 。単原子分子理想気体であるので,状態方程式(p0V0=nRT0)も利用した。Cが正解。この問題は,ばねのエネルギーが間違っていても部分点が与えられる。【普通】
問4)単原子分子理想気体の内部エネルギーは,U=2/3・nRT であるから,増加分は,ΔU=Uあと−Uはじめ=3/2・nRT−3/2・nRT0=3/2・nR(T-T0) 。Dが正解。【易】
問5)p−V図における気体がした仕事は,V軸と囲まれた部分の面積である。よって, , からp,Vに変化したときに気体がした仕事は,Dが正解となる。【易】

第5問(選択問題)
 第6問と選択の問題。天体の運動の問題。問2の,太陽からの惑星の距離と,その惑星の運動エネルギーの関係を表すグラフはどれかという問題は,見たことがない問題だったので,受験生は戸惑ったかもしれない。
問1)ケプラーの第二法則より,1/2・r1v1=1/2・r2v2 が成り立つので,そこから得られる関係式として正しいものは, である。Eが正解。【易】
問2)太陽からの惑星の距離と,その惑星の運動エネルギーの関係を表すグラフはどれかという問題は,これまで見たことがない問題だった。問1の結果である,rv=C(一定値)を使って考えることにする。太陽からの惑星の距離 r のところの惑星の運動エネルギーは,1/2・mv^2=1/2・m(C/r)^2∝1/r^2 となり,r^2 に反比例する。つまり,グラフの(a)となる。一方,太陽からの惑星の距離 r のところの惑星の万有引力による位置エネルギーは,無限遠が 0 であることより,U=-GMm/r∝-1/r であるから(d)となる。Bが正解だ。よくグラフを見ると,たしかに(a)のほうが(b)よりも同じ r で比べてみると原点に近い(絶対値が小さい)のも確認できよう。【普通】
問3)軌道Aのように半径 r の等速円運動をしている惑星についての運動方程式を立てると,mv^2/GMm/r^2 。よって,v=√GM/r(←ア)である。一方,軌道Bのように近日点での太陽からの距離が r となる楕円運動の場合は,近日点では,等速円運動をする速さ v=√GM/r よりも速さがはやくなければならない。よって,惑星の力学的エネルギーは,軌道Aの場合よりも,軌道Bの場合の方が(イ)大きい。等速円運動をする条件から楕円運動をする条件を考察させる良問だったと思う。Fが正解だ。【普通】

第6問(選択問題)
 第5問と選択の問題。原子核と素粒子に関する問題。問1は,かなり細かなところまでの正しい知識が必須であり,多くの受験生は苦戦したのではなかろうか。問2および問3は,教科書や問題集でよく見かけるタイプの典型問題だった。今年の選択問題なら,僕ならこちらの第6問のほうを選んでいたと思う。
問1)正しいのはA。その差を結合エネルギーと呼ぶ。では,せっかくなので,ほかの選択肢についても簡単にコメントしておこう。@原子核内部の陽子と中性子は核力によって結びついている。B陽子はクォークが3個のハドロンである。uud だ。また,クォークは基本粒子(素粒子)で内部構造はない。Cクォークは,たとえば,アップクォーク(u)は電荷 +3/2・eをもっており,電気的に中性ではない。D自然界に存在する基本的な力は,重力,電磁気力,弱い力,強い力の4種類であると考えられている。かなり細かいところまで知識として持っていないと,どれが本当に正しいのか悩むにちがいない。【やや難】
問2)238U が 206Pb に崩壊するまでに,x回α崩壊し,y回β崩壊したとして,連立方程式を立てるのが良い。4x=238−206,2x−y=92−82。連立して解くと,α崩壊がx=8回(←ア),β崩壊がy=6回(←イ)とわかる。問題で,β崩壊をβ−崩壊ともいうと明記しているのが,とても気に入った。なぜなら,β+崩壊もあるからだ。Hが正解。この問題は,β崩壊の回数を間違えても部分点が与えられる。大盤振る舞いだ。【普通】
問3)さいころを使った半減期の実験の問題だ。教科書によっては,これに類似した実験が紹介してあるものも見受けられる。1の目が出たさいころは,おおよそ 1/6 だから,1分ごとにさいころの数が 1/6 ずつ減っていくわけだ。つまり,選ぶグラフは(c)である(←ウ)。次に,1000個の原子核が500個に減少するのにかかる時間(これを半減期という)をTとするなら,2Tの時間が経過したときは,500個のさらに半分の250個となる(←エ)。Fが正解。半減期の式を持ち出すまでもなく正解が得られる。【易】


以上。



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