ひとのふりみてわがふりなおせ

 2004年12月07日 松野聖史

【要旨】
 今朝、踏切当番で、交通安全の旗を持って学校近くの踏み切りに立っていた。生徒の様子を見ていて思ったことなどをつづった。
【キーワード】
 踏切 車 ひとのふりみてわがふりなおせ マナー 気持ち良い うざい

 現在の勤務校では、生徒指導部よりの要請で、職員が順番にひとりずつ、毎朝、近くの通学路にある踏切に立ち、交通安全運動をしている。今日は、僕の番で、師走になってかなり寒くなった中、踏切当番をしていたときに感じたことがある。
状況を説明しよう。高校生は駅から降りて学校前10分足らずだが歩いてくる。踏切を通るのだが、この踏切が異常に狭いのだ。車が2台分ぎりぎりの幅で、歩行者用のスペースがほとんどない。しかも、朝の通勤ラッシュのため、車も双方向からバンバンやってくる。よって、非常に危険なため職員が立つということなのだろうと思う。
 さて、高校生が朝くるときはどんな様子でくるのか? まず、集団行動をするのが目に付く。どういうことかというと、3〜4人で、横に広がってそのまま進んでいるのである。
 縦ではなく横だ。互いの顔を見ながら話しながらのそのそと超鈍足ペースで進んでいるのだ!
 するとどうなるか容易におわかりになろう。車の通るはずのスペースが、約1台分占領されるのである。両側通行のはずの踏切が、彼らのために片側通行になってしまうのだ。当然、車のドライバーはクラクションで警告をする。しかし、高校生はその編隊を乱すことなく、その大半は、歩みを速めることもない。交通弱者である歩行者がいなくならない限り進めない現状は変わらない。
 その様子に、当然職員として「広がらないで一列になれ!」と叫ぶわけだが、今日は、逆に睨まれたり、「うざい」と口走ってそのままの編隊のままゆっくり歩いていった集団もいた。「どっちのほうがうざいんじゃあ!!」と思わず叫ぶところであった。
 昔から「ひとのふりみてわがふりなおせ」という言葉がある。よく自動車教習所の教官が言っているが、歩行者のときは自動車のマナーの悪さにイライラし、自動車に乗ると歩行者のマナーの悪さにイライラするとか。いつもイライラしていては気持ち良く日々が送れない。気持ち良く日々を送るには、歩行者のときは車のことを考え、車に乗ったら歩行者のことを考えて、交通安全に努めるだけでよいのだ。交通マナーというようなものは、本来、そういうことを言うのではないかと思う。今朝の、高校生集団編隊の行動から、気持ち良く日々を送るために何をすればよいのか再度確認できた。
 最後に一つだけ。おそらく、僕ばかりでなく、どの先生方も毎日同じことを注意されていると思うのだが、高校生はそれでも横に広がる編隊を崩そうとしない。僕はそちらのほうに不安を持っている。注意されると「うざい」と感じるような考え方や、注意されてでもなお編隊を乱さないこと。そこまで自己中心的発想しか今の高校生にはできないのであろうかと、将来が心配になっている。ずっと正しいと思っていることを崩すのは容易なことではないが、崩すなら今しかないと思う。ブツブツ言うだけの指導には限界を感じている今日、どうしたものかが日々の課題なのである。

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