財布

2004年10月3日 松野聖史

【要旨】
 ドラゴンズ優勝で各店舗が66円、660円均一をしていた。たまたま買い換えようと思っていた財布をこの機会にと考え、購入した。財布の中身を移し変えながら思ったことを述べた。
【キーワード】
 財布 思い出 カード 現金

 マジック数の関係で、負け試合の間に優勝が決まった中日ドラゴンズ。中部地方は、一気にドラゴンズ祭りである。ありがたいのはファンばかりではなく、一般の消費者もそのありがたみを受ける。近くのスーパーでは66円均一や、660円均一の商品をドバッと出しており、この機会に何か買おうかなと思ったのが今回の話の始まりだ。
 僕は、高校生の頃からずっと同じ財布を愛用してきた。いつも、新しい財布でいいものはないかなぁとは思って探してはいるもののなかなか気に入ったものがなかったため、今日まで同じ財布を使用してきた。ところが、ついに破れはじめ中身が出てしまうことがあり、観念して新しい物に替えなくてはいけなくなってきていたところでもあったからだ。660円。チーン。
 夜、財布の移し変えをしながらいろいろなことを考えたのでつらつら述べていこう。
 まず、財布の中身で一番多いのはカード類であることがわかった。ずっしり重い財布なのであるが、その大半はカード類。しかも、ポイントカードばかりである。各店舗が客のためにポイント制を採用すると、割安感が生まれ、リピーターが増えると狙ったポイントカード。その場で持っていないとポイントをつけてくれないのだから、仕方がなく持ち歩くことになってしまう。電気屋や、レンタルショップ、書店、ハンコを押すタイプのポイントカードの多い飲食店のカード、各種組合員証。最近は厚紙から強いプラスチック製になっているものがほとんどだ。厚紙より当然厚いし、重い。結果的には財布のほとんどを占めてしまっていたわけである。プラスチック製のものは、永年使用が原則で、再発行の場合は200円とか手数料を取られるうえ、さらに、その場で持っていないとポイントがつかないも場合が大半なので、いやいや持って歩くしかないのだ。紙のものでも、2、3回しかいったことのない店のものでも有効期限がないものについては、また行くかもしれないと思ってついつい持ち歩いている顛末である。
 移し変えるうちにはいろいろな思い出のポイントカードも出てくるものだ。よくもまぁ、こんなに入っていたなぁと思うくらいのカードが出てくる出てくる。高校時代のよく行っていた古本屋のポイントカードや、大学時代のスーパーのスタンプカード、どこのポイントカードか全く思い出せないようなカードもあるし、すでに閉店になってしまった電気屋さんのポイントカードもあった。捨てればよいのだが、なかなか捨てる気になれず、別保管しておくことにした。これでだいぶ財布が軽くなったはずだ。
 次に多かったのが、キャッシュカードやクレジットカードの類だ。現金同様貴重品なので持ち歩かないわけにはいかない。銀行のキャッシュカードだけで何枚もあることが判明。いろいろな銀行を利用しているためか、重くて仕方がない。クレジットカードは、これまた厄介なのだ。ポイントカードや会員証とくっついたものがほとんど。単独のクレジットカードなんて一枚もなかった。年会費無料だからぜひ会員証にクレジット機能をというキャンペーンがはやって以来、はじめからクレジットカード機能付きの会員証しか出してくれないところが増えてきたことにもよる。そんなにクレジットカードが増えまくって、いったいクレジット会社に利益がどれだけ入るのか気になるところだ。年会費無料で、一回も使わないクレジットカードばかり。でも捨てられないし貴重品なので持ち歩くしかないようだ。
 クレジットカードで思い出した。買い物をするといつも不思議だと思うことがある。105円のお菓子を買ってカードで支払いをすると「1回払いでよろしいでしょうか」と必ず聞かれる。105円を「分割でお願いします」というような客がいると思っているのだろうか。マニュアル対応にも困ったものである。常識的に考えて105円で12回分割する人はいないだろうし、そんなことはわかりそうなものだ。かえって、客を馬鹿にしているようで腹立たしくなる。ねぇ、事業主さん。せめて、1万円以上で聞くようにマニュアル変えてくれませんかね。
 他に出てきたのは、医者の診察券。これも永年使用のプラスチック、しかも抗菌性が多い。持って歩く必要はないのだがずっと持って歩いていたようだ。
 奥のほうには、おみくじや種銭が一杯入っていた。どうも、縁起物を持ち歩きたい性分なのか、おみくじはいつも財布の奥に突っ込んでいたようだ。もう、10年も前の旅行で行った先の神社のおみくじなどがわんさと出てきた。捨てるわけにも行かず、移し変えはしなかったものの、別途保管とした。
 まだあるぞ。名刺だ。いろんな人の名刺。高校生のときお世話になった印刷屋さんの名刺から、社会人になったときに友人が自慢げにくれた名刺などが出てきた。名刺は持って歩く必要なないので、今回整理し、別途保管となった。
 さらに、プリペイドカード類も多い。車にあんまり乗らないためか、電車やバスのものが多い。携帯を持っていないのでテレフォンカード。他に図書カード。どんなカードでも便利そうだが、プリペイドカードだけでも結構な量だ。しかも、現金と同様なので持って歩くべき貴重品なのだ。仕方なく整理できずに新しい財布に移した。電車といっても、JRや地下鉄、バスも平日とか昼割とか色々な種類があるのだ。全部あるので相当な枚数となっているのは事実だ。
 最後に、肝心の現金を移した。・・・わかったこと。実は財布の中身で一番軽いのは現金である。お札はぺらぺらな紙であるからあんまり場所を取らないし軽いのだ。実によく考えられている。硬貨はもともと重いので、あんまり持たないように心がけるはずなのでそんなに増えはしない。
 こうしてみると、高校生から愛用していた財布の中身のほとんどは思い出と共によみがえる各種カードであった。ポイントカードやプリペイドカードの一つ一つに思い出がよみがえってくるものが多かった。毎日持って歩く財布の中には思い出が一杯詰まっている。この重い財布を持って歩くとは、自分の過去を持って歩いているようなものなんだと実感した。それが財布の価値であり、この重さを受け止めないといけないのだろう。・・・ただ、新しい財布は、お金がほとんど入っていない割には、すでにカード類で一杯でパンパンなのでどうしたものか。

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